「THE iDOLM@STER」Side Story
「めるぷり！」
（立ち読み版）
2010年12月31日「コミックマーケット79」頒布予定
「めるぷり！」所収
まなーもーど
東京・下町のある中学校。
授業時間の終わった昼下がり。
教室を出て、塾や部活、あるいは自宅へと三々五々に向かう生徒たちの合間を駆けていく、一人の小柄な少女がいた。
癖のある栗色の髪を頭の両サイドで高く結わえたその少女、名を「高槻やよい」という。この学校の二年生だ。
授業終了のチャイムが鳴り終わり、教師への挨拶が済むと、彼女はクラスメートとの挨拶もそこそこにして、カバンを引っつかんで教室を飛び出した。
飛び出した、そのままの勢いで校門を出たところで、やよいはあることを思い出して急ブレーキをかけて駆け足から早足に切り替える。
「あっ、プロデューサーにメールしなきゃ…」
そうつぶやくと、やよいは速度を落とさないように歩きながら、カバンをまさぐってオレンジ色の小さな携帯電話を取り出した。
慣れない手つきで携帯を開き、ダイヤルボタンの片隅にある封筒の絵が描かれたボタン――メールのボタンを押す。
メール作成画面まで行って、そのまま
＋＋＋
今学校終わりましたー。これから事務所へ行きまーす！
＋＋＋
と打とうとして、やよいはハッと気がついた。
「もしかして、プロデューサー、いまお仕事中かなぁ…」
そう。彼女――高槻やよいは、女性アイドル業界で目下大躍進中の芸能事務所「７６５プロダクション」の専属タレントの一人でもある。
彼女は数ヶ月前、同じ事務所所属の天海春香・菊地真とのトリオユニット「パーフェクトサン」の一人としてプロデビューしたのだ。
目下、彼女たちは間近に迫った全国放送の人気歌番組「ＬＯＶＥＬＯＶＥＬＩＶＥ！」出演権獲得のオーディションに向けての準備――レッスン中である。
その頃。
都内某所の７６５プロダクションが入居している貸しビル。
そのオフィスの一隅にあるデスクに、やよいがメールを送ろうとした「プロデューサー」と呼ばれる人物――麻宮小次郎がいる。
やよいが所属する「パーフェクトサン」の担当プロデューサーである小次郎。
今日も、彼女たちの「芸能人としての」次の仕事のために、何ヶ所かのＴＶ局や出版社を回ってきて、まもなくここへ出勤して来るはずの彼女たちを迎えるために帰社してきたばかりである。
♪ぴろり〜ぴろり〜ぴろぴ〜ろぴろぴろり〜♪
「パーフェクトサン」のデビューシングル「Ｇｏ Ｍｙ ＷＡＹ！！」の着信メロディーが、小次郎のスーツの胸ポケットに入った携帯から鳴り響いた。
その音に、小次郎は携帯を取り出す。
サブディスプレイに映る送信者の名前は「高槻やよい」。
「やよいから？ なんだろう」
独りつぶやくと、小次郎は携帯を開き、「新着メール 一件」と書かれたリンクをクリックしてメールを開いた。
このSSは、2010年12月に頒布開始予定のやよいSS「めるぷり！」のプレビューです。
本編は2010/12/31の「コミックマーケット79」以後、各同人誌即売会で頒布いたしますので、よろしければ各イベント会場へお越しくださいませ。