有限会社コミケット 2005年
今回はいままで紹介してきた本とはちょっと「毛色の違う」本のお話をします。
毎年８月と12月、東京は有明の「東京ビッグサイト」を会場に行われるわが国、否、世界最大の同人誌即売会「コミックマーケット」。
数万ものサークルが軒を連ね、３日間開催では延べ40〜50万人もの人々が押し寄せる巨大イベントになりましたが、もちろん、最初からこんなにデカイイベントだったわけではありません。
いまをさること30年前、第１回が開催されたときには会場も小さく、参加者も数百人単位と小さなイベントでした。
それから時を経て、参加者の数も増え、会場もどんどん大きくなって……
本書ではそんな30年間のコミケの歴史を、準備会内外から集められた当時の資料や写真・往時活躍した同人作家の方々のインタビューなども交えながら綴っています。
さて、私がこの本を読んで印象深かったことはというと、これまで断片的にしか知らなかった「同人誌」や「コミケ」の歴史を(ほんの一部にしかすぎませんが)時系列的に知ることができたことと、その中から伝わってくる、当時、この世界に関わっていた人々の「火傷しそうなくらい熱い」パワーでしょうか。
「自分もこの当時青年時代を生きていて、この世界に関わっていたらどうなってたんだろう……」
なんてことをふと考えてしまいました。
……案外普通のオヤジになっていて、自分の息子なり娘がコミケに行くのを複雑な表情で見守っていたかもしれませんが(^^;
そしてまた、現実の私自身もいま、この世界に大なり小なり関わりを持っている人間の一人なわけですが、この世界に生きている人間の一人として、「後から来る」はずの人たちに、何か残せるものはないだろうか……そんなことも考えてしまいます。